養護教諭関係団体連絡会 設立趣意書
養護教諭は、昭和16年(1941年)の国民学校令において教育職員としての身分が確立し、その職務は昭和22年(1947年)の学校教育法において「養護をつかさどる」と規定された。以来、約70年にわたって、養護教諭は子どもたちの心身の健康の保持増進を担い、世界に類のない日本固有の職として発展してきた。
一方、近年の著しい社会変化に伴って子どもたちの生活環境は複雑化・多様化し、心身の健康問題は深刻化していることから、養護教諭には一層の役割が期待されている。このような期待に応えるには、養護教諭の資質能力向上に関する教育や研修の改善や保健室の設備改善等、人的かつ物的な条件整備はもとより、法制度を含む環境整備等のさらなる充実が喫緊の課題である。
かつて、所轄官庁や議員等に養護教諭の資質能力の向上を願う複数の組織が一つの方向を提示することの意義を指摘されたことから、平成19年(2007年)12月20日に、日本養護教諭教育学会(養護教諭の資質や力量の形成及び向上に寄与する活動に関する研究とその発展を目的としている学術団体)の呼びかけによって養護教諭関係団体連絡会を組織し、中央教育審議会スポーツ・青少年分科会学校健康・安全部会「子どもの心身の健康を守り、安全・安心を確保するために学校全体としての取組を進めるための方策について」(審議経過報告)へのパブリックコメントを、日本養護教諭教育学会、全国養護教諭連絡協議会、日本養護教諭養成大学協議会、日本教育大学協会全国養護部門、全国私立大学・短期大学(部)養護教諭養成課程研究会、日本健康相談活動学会が協議して提出した。このような一定の合意形成を得た意見提出により、その内容は中教審答申等に反映された経緯がある。
社会の要請や国民の期待に十分に応え得る養護教諭の資質能力の向上を目指して、具体的で持続的な活動を行うためには、養護教諭関係団体が一つにまとまり、組織的に推進することが肝要であることから、平成27年11月、中央教育審議会答申(素案)「これからの学校教育を担う教員の資質向上について」及び「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」に対する意見提出を機に養護教諭関係団体連絡会を再構成し、組織としての体制整備をするに至った。
会則に示すとおり、養護教諭関係団体連絡会は「養護教諭の資質能力向上を願う全国組織団体の連携と協力により、養護教諭の養成・採用・研修等に関する施策の提案と実現に向けた取り組みを行うこと」を目的として、「養護教諭の資質能力の向上方策に関する情報収集および協議」「養護教諭の資質能力の向上方策に対する要請および要望」などの事業を行うものである。
今後は、養護教諭関係団体連絡会における一定の合意形成を得た意見の表明により、養護教諭の資質能力の向上に関する様々な施策の実現に大きく貢献できることを確信し、その責務を確実に果たすために、ここに、養護教諭関係団体連絡会を設立した。
平成27年11月8日 日本養護教諭関係団体連絡会