養護教諭のコンピュータ環境調査

【目的】
 インターネットでの情報収集や配信、遠隔授業など多様な情報処理システムを活用できる時代となった。そこで養護教諭のコンピュータ環境がどのようになっているかを調べること、関係省庁への要望事項の根拠資料とすることを目的とし調査を行った。

【方法】
 2020年9月26日(土)より10月16日(金)の期間、養護教諭のパソコン環境に関してグーグルフォームによる調査を行った。調査は、日本養護教諭関係団体連絡会のメンバーが各々の知人や関係団体に配信し行った。調査にあたっては、調査の趣旨を記載し無記名で行い、回答をもって同意とみなした。回収数は534名、有効回答数は532名(有効回答99.6%)であった。

【結果】
・学校で養護教諭が専用に使えるパソコンは99%と完備されていた。しかし保健室で利用できるパソコンは64%、学校の共用は45%、個人のパソコンは22%であった。
・養護教諭が学校で使用できるインターネット環境は99%とほぼ整っている一方、私物と思われるスマートフォン使用者が17%いた。
・Wi-Fi(無線Lan)環境が整っているのは44%と半数以下であった。
・インターネット利用の内容は、「日本スポーツ振興センターの災害共済給付オンライン請求システム」「保健だより等、養護教諭が校内で健康情報を発信する際の閲覧」「健康情報の閲覧」「保健学習の教材づくりのための閲覧」が圧倒的に多く80%以上を占めた。一方、校内外のweb会議は約20%に留まった。
・学校で個人のメールアドレスを持っているものは、69%であった。またメールの送受信の容量制限があるものは28%、不便を感じるものは26%いた。容量制限で不便を感じるときは、パワーポイントや画像、データの送受信ができないなどであった。
・学校でのオンライン会議の環境が整っているのは57%、オンライン会議の経験ありは33%に留まった。
・養護教諭からの学校のホームページでの情報配信に関しては、学校保健計画は3%保健室経営計画は1%、保健だよりは29%に留まった。

【まとめ】
 養護教諭のコンピュータ環境は、学校におけるパソコンやインターネット環境はほぼ整っているものの、個人のパソコンやスマートフォンの使用Wi-Fi環境が整備されていない、メールの容量制限がある、オンライン会議の環境が整わない、など今後の環境整備の必要性が示された。
一方で、学校保健計画、保健室経営計画、保健だよりにおける情報発信の低さが示され、養護教諭自身がネットを通じて情報発信する意識を養う必要も示された。